背景
はじめに、私はADVがかなり好きです。
ADVと言っても広いのですが、要するに紙ペラのノベル寄りのゲームが好きです。
これまでにクリアした有名なものだと、
- Ever17
- ダンガンロンパ
- 逆転裁判
などが挙げられます。挙げればキリがないので、ここでは上の二つだけにしておきます。
では、そういうノベルゲー・推理ゲーが好きな私がまのさばをプレイしてみた感想を書いていきたいと思います。
ちなみに、このあとネタバレ全開なので、未プレイの方は今のうちにブラウザバックしてください。今ならまだ戻れます。
第一印象
そもそも、このゲームのことはXか何かのタイムラインで流れてきて知っていました。ROM専でほとんど誰もフォローしていないアカウントなのに流れてきてので、そこそこ流行っている作品なんだろうなとは予想できました。
ツイートの内容は忘れたのですが「ダンガンロンパっぽい」という内容と共に公式の動画が貼られており、確かにダンガンロンパっぽいなという印象を抱いたのを覚えています。
裁判で選ばれた人を処刑するというコンセプトからも、ダンガンロンパっぽさ、人狼っぽさを感じました。
プレイするまで
で、作品名は知りつつも特に自分で調べたりもせず全くなにも知らないまま数ヶ月をすごしていたところ@p1at.devさんがセール中だからこのようなポストをしていたので、乞食をしてギフトとしてもらうことにしました。
決して、お金がなかったわけではないです、いいね。
プレイしてみて
「これってダンガンロンパでしょ」という話を振ると「コンセプトは似ている」といった感想を多くの既プレイ者から得ていたので、何らかのダンガンロンパにはない要素があるのだなあと思いながらプレイしていました。
ここ最近だと、都市伝説解体センターを遊んでいたのですが、あれがシナリオ一本道で分岐のしようがなくてとにかく眠くなってしまう作品だったのに対し、本作はBAD ENDが実装されていて、そちらを読むのも楽しかったです。
やっぱり、紙ペラ系ADVはマルチエンドが必要だと思うんです(ただのBAD ENDでいいよ)
シナリオについて
調べてみたのですが、シナリオライターの方は二人いるみたいです。
で、個人的には第一章の方が面白いと感じました。といっても、二章がつまらないというわけではないです。
事件についてはトリックが一章はかなりミステリ王道で素直な印象を受けましたが、二章は「どう贔屓目に見てもそれはできないだろう」「どうしてそのキャラクターがその状況でその行為を取ったのかわからない」という場面が多々ありました。
例えば、第五章ではマーゴがコエマネでメルルのフリをして電話をするというアリバイ工作があるのですが、言わなければいいのに「医務室で襲われている」と言ってしまいます。
当然これはアリバイ工作なので、マーゴ本人は医務室にいません。いないのに「いる」と工作をすると本当にその場所に誰かがいた場合「いない」ことが簡単にバレてしまいます。
もちろん、それがすなわち犯人であることには繋がらないのですが、「でもメルルは医務室にいなかったよ」と証言されると矛盾が生じ、その証言をしたナノカか被害者であるメルル、またはメルルになり済ませるマーゴか、電話を受け取ったエマの誰かが嘘をついていることになり、容疑者が一気に絞られてしまいます。
通常、被害者が嘘の証言をすることはないので、この場合だと一気に容疑者が三人になってしまって、自らのアリバイ工作によって、却って自分への容疑を強めてしまうわけです。
とはいえ、一概にそれが悪いとは言えないと思います。全てのキャラクターが完全に合理的に行動してしまうと、それはそれでつまらないからです。合理的なキャラクターしかいないと、推理パートが簡単になりすぎてしまいます。
別の観点だと、本来簡単に容疑から外れるであろうヒロにいつまで嫌疑をかけ続けるのも「流石に誰かどこかで気付いていいのでは」と思ったりしました。
証言を合わせていくと「ヒロがエマとシャワールームで約束をした上で、その場に行かず、背景をシャワールームに偽装して配信を行ってエマに容疑を着せた」ということになるのですが、エマがその場に居続ければ(というか、本編でもしばらく居続けたわけですが)、シャワールームで配信が行われていないことはすぐにわかり、それがエマの無罪を証明するわけではないですが、エマがそれを否定するだけで「配信かエマの証言のどちらかが嘘」ということになりますし、もしエマが待ち合わせに来ないヒロに痺れを切らしてラウンジにでも行こうものならアリバイが成立してしまってこのトリックは通らないわけです。
他にも槍を伸ばして心臓を貫いたり、背中から刺して身体を貫通させたり、昏倒しているヒロにジャンプして飛び乗ったり、そうはならないのでは、的なトリックが目立ちました。
槍や柵は物語の都合上仕方ないとしても、昏睡しているヒロに飛び乗らなくても足跡が残らないようなトリックを考えることは可能なはずで「なんでその方法を正解にしたのだろう」という場面はいくつかありました。
というわけで、シナリオ自体には「ラストのお涙頂戴シーンが長い」「何だハッピーエンドか」以外には全く不満がないのですが、事件パートは本格ミステリを期待している人には物足りないのではないかと思います。といっても、自分もメジャーな金田一やコナンや探偵学園くらいしか読んでいないので、その手の人からしたらトーシロなわけなんですけど。
とはいえ、これらの作品を読んでいると、
- ハンナの事件
- 名探偵コナンの「図書館殺人事件」
- シェリーの事件
- 探偵学園Qの「吊り橋村殺人事件」
- 名探偵コナンの「時代劇俳優殺人事件」
等、この事件にはあのトリックが使われているのでは、と予想できてしまいます。まあ、完全に新しいトリックを考えるのは不可能なので、これは仕方がないのかも知れませんが。
ココの千里眼によるメタ発言は、例の某作品(確信に触れるので伏せます)を想起させたりしたので、思わずネタバレしそうになりましたが、堪えました。
文章について
読みやすくて、キャラ同士の掛け合いも面白かったです。
裁判パートで露骨に犯人だけ喋らないのは直しても良かったかも、という気がしなくもないです。「アリバイ証明(現場不在証明証明)」とか「違和感を感じる」とかちょっとおかしな文章もありましたが、キャラクターのセリフならいいとして(そういう個性だと思えば良いし、全員がきっちりとした日本語で喋るのも気持ち悪いので)地の文はもうちょっと校正入っても良かったかなという気がします。
大した問題ではないので、直ったらいいなくらいの印象です。
イラストについて
一枚絵はすごく上手なのに、それに対して立ち絵が結構ブレていたので担当している人が二人いるのかなと思ったのですが、お一人のようです。
ハンナやレイア・アンアンあたりがちょっと怖かったです。それを意図していたのだとしたら、見事にハマっています。シェリーはかわいい。
まとめ
総じて面白い。
推理パートはダンガンロンパに比べるとシンプルだが、2以降のよくわからないアクションがないのは逆に好印象。
推理系のADVで個人的にランキングを付けるなら、
逆転裁判 = 12Riven > G線上の魔王 >= ダンガンロンパ1 > 魔法少女的魔女審判 > ダンガンロンパ2, 3 > LumineNight >= 都市伝説解体センター
Remember11とかEver17とかは入れるとランキングが混沌としてしまうので省略。最初の一回の爆発力はすごく強いけど、ネタバレ=物語の核心すぎてなかなか二周目ができない。
この中だとダンガンロンパシリーズはプレイしたのが結構前にも関わらず、二周目をやってない。そういう、物語を知っている上でも二周目をやりたい、っていう意味ではこういうランキングになりました。一周目だけならまた変わるかも。
お値段がコンシューマのフルプライスでないのもお手頃価格で良い(私は払っていないが)
推理系ADVで可愛い女の子が好きで本格ミステリでなくても良いなら、是非オススメしたい作品の一つ。
記事は以上。