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SwiftPackageKeysを使ってみた

February 25, 2024
1 min read

SwiftPackageKeys

パッケージはGitHubで公開されているのでそれを利用します。

Terminal window
SwiftPackageKeysDemo/
├── SwiftPackageKeysDemo/
├── Assets.xcassets/
├── Preview Content/
├── ContentView.swift
└── SwiftPackageKeysDemoApp.swift
├── SwiftPackageKeysDemo.xcodeproj/
└── .env

適当にSwiftPackageKeysDemoというアプリを作成して、ディレクトリの直下に.envを配置します。ここは.env.jsonでJSON形式も利用できるそうなのですが、慣れているので今回は.envを使います。

Terminal window
APP_SECRET_KEY=559603377072552A1E4B5F300451F883

内容には適当に32文字のHEX文字列を定義しました。

で、アプリをビルドします。すると、以下のような感じで読み込んだ環境変数をSwiftPackageKeys.appSecretKey.valueで取得することができます、簡単ですね。

import SwiftUI
import SwiftPackageKeys
struct ContentView: View {
var body: some View {
VStack(content: {
Image(systemName: "globe")
.imageScale(.large)
.foregroundStyle(.tint)
Text(SwiftPackageKeys.appSecretKey.value ?? "-")
})
.padding()
}
}

Realm Encryption Key

で、例えば暗号化のための鍵を.envに定義したい場合があります、ありますよね?

iOS向けのデータベースライブラリとして有名なRealmは暗号化に対応しているのですが、

var key = Data(count: 64)
_ = key.withUnsafeMutableBytes { bytes in
SecRandomCopyBytes(kSecRandomDefault, 64, bytes)
}

とあるように鍵は長さが64である必要があります。

Terminal window
APP_SECRET_KEY=71ADA0092BAC5543D3205444DC1062B09C9D5F7161720FA49C64648175887767

というわけでAPP_SECRET_KEYを64文字にしてビルドすると、

Terminal window
Swift/ContiguousArrayBuffer.swift:600: Fatal error: Index out of range

と表示されてコケてしまいます。

色々長さを変えてチェックしてみると33文字以上になるとこのエラーが出るようです。鍵の長さが32文字というのは少し短い気もするのでここはなんとか対応したい感じです。

単に32文字の定義を二つ用意して結合することもできるのですが、それはあんまりなのでソースコードを改良して33文字以上の文字列を設定できるようにしましょう。

調査

  • 32文字以下の文字列は正しく変換できる
  • 33文字以上の文字列はFatal error: Index out of rangeが表示される

ここで気になるのはエラー自体がソースコード内で起きているわけではなくSwift/ContiguousArrayBuffer.swift:600とあるようにSwiftの標準ライブラリ内で発生していることです。

Terminal window
KeyGenerator/
└── Sources/
├── Constants/
├── Template/
└── KeyGenerateError.swift
├── Extensions/
├── EnvironmentKey+Extension.swift
└── String+Extension.swift
├── Models/
├── EnvironmentItem.swift
└── EnvironmentKey.swift
├── Encryption.swift
├── EncryptionCodeGenerator.swift
├── EnvLoader.swift
├── KeyGenerateArguments.swift
├── KeyValueGenerator.swift
└── main.swift

ビルド時に発生しているのでバイナリではなくどこかのファイルでエラーが発生していると考えられます。

func main() throws {
Encryption.shared.encryptionKey = UUID().uuidString.replacingOccurrences(of: "-", with: "")
}

するとmain.swiftに上のようなコードを見つけました。

UUIDはハイフンを除けば全部で32文字なのでEncryption.shared.encryptionKeyは最大で32文字までしか割り当てられないということになります。

func encrypt(_ input: String) -> String {
let inputValueBytes = [UInt8](input.utf8)
let encryptionKeyBytes = self.encryptionKeyBytes
let encryptedBytes: [UInt8] = inputValueBytes.enumerated().map { byte in
byte.element ^ encryptionKeyBytes[byte.offset]
}
...
}

更に実際に暗号化を施すところではencrptionKeyBytesinputValueBytesよりも長いことを前提としたコードになっています。

inputValueBytesはUUIDで初期化されていて32文字しかないので、33文字以上の値を暗号化しようとするとインデックス外参照で落ちてしまうというわけですね。

正直、32文字もあれば鍵の長さとしては十分なのですが、このライブラリは暗号化と復号にXORを使っており、更に鍵の長さが入力値よりも長いことを前提としているコードになっているので、入力値が32文字以下というのは大きな制約になります。

例えば先ほど紹介したRealmは暗号化鍵として64文字の文字列を割り当てる仕様になっています。

SwiftPackageKeysは、

  • XORを利用していること
  • 鍵の長さ>平文の長さを前提とした設計であること
  • 鍵の長さが128bitしかないこと

からRealmの暗号鍵を暗号化して保存することができない仕様になっています。これ、なんとかしたいですよね?

これの解決法としては鍵を単純にXORして利用するのをやめてブロック暗号に切り替えるなどといった方法が考えられます。

ブロック暗号を利用するためにCryptoKitなどを使えば逆にリバースエンジニアリングで解読されやすくなってしまうのだが…

とはいえ、そこまでの強度が必要でないのであれば(どうせ逆アセされるとバレるので)単に鍵を長くしてしまえば良いということになります。

正直、無意味に鍵を長くするのは好みではないのですが、ブロック暗号を実装するのもめんどくさかったのでこの方法を採用しました。

追記

なんとSwiftPackageKeysがCryptoKitに対応して任意の長さの文字列に対応してくれるそうです!!

正直、自分の実装はカスだったのでこうやって対応していただけるのはとてもありがたかったりします。

記事は以上。